COLORS~Clear~
郁サンは、そんな私に照れ隠しのように。


「そういえば…。これ、渡しておく」


私とは、微妙に視線を合わせずに。
書類を取り出した。


「何かの書類?」


受け取りながら。
やっぱり、


―かわいい


思ってしまう。

でも…。


「ん?あぁ…。取材先のリスト」


次の瞬間には、もういつもの郁サンに戻っていて。


「出版社と、雑誌名が書いてある」
「…来週、の?」
「あぁ。とりあえず。ちゃんと、透子の気持ちを確認してから渡そうと思って…」


私は、ちょっと残念だな、思いながら。
そのリストを、封筒から取り出す。

そう。
私たちは来週。
雑誌の取材を受ける。

事実上の。
婚約発表…。


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