COLORS~Clear~
「イタリア、だったわよね?」
「えっ?あ、うん…」
「いい所よね。新婚旅行にもいいかもしれないわね」
「そう、だね」


沙奈が。
私にまだ、何か訊きたいのはわかっていた。

私の気持ちを、探りたいんだと…。


「郁サンに提案してみようかしら。沙奈、オススメスポットがあったら教えて」


母に似た私とは違って、勘のいい子。
隙を見せると、触れたくない、触れられたくない、核心をつかれそうで…。


「ん。わかった…。っていうか、お姉ちゃ…」
「ありがとう。札幌のおみやげ、ちゃんと買ってくるから。楽しみにしててね。沙奈の好きな物、買ってくるわ。あと、お小遣いも用意しておくから」


とにかく、沙奈に隙を与えないよう、私はただ、言葉だけを並び立てて。


「ごちそうさまでした。先に部屋に戻るわね」
「えっ?ちょっ、お姉ちゃん!?」


席を立った。


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