COLORS~Clear~
ただ、何も気づかないふりをして。
お稽古も辞めて。
このまま“同級生の姉”でいることが。

最善だと、わかってる。

霧島クンの。
通過点になることが…。

霧島クンの為だけじゃない。
お互いの為に。

きっと。
勘のいい郁サン。
そのうち、私に違和感を覚えるはず。

私の中にある気持ちに。
気づくはず…。

もう、後戻りは出来ないし。
する気もない。

郁サンに惹かれているのも、本当だから…。

私は彼の傍にいたいし。
彼のことを、傷つけたくはない。

完璧すぎるその裏側には、きっと傷があるはずだから。

“鷹梨”という家に、生まれてしまった故の、心の傷が…。


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