COLORS~Clear~
そんな曖昧な気持ちのまま。
取材当日。

私はいつも以上に、いつもと変わらない私を心掛けて。

…郁サンに、いつもの私を見せるために。

思ってる以上に、ちゃんと私を見てくれてる人。

変に勘づかせて、忙しい彼を煩わせたくなくて…。


「…大丈夫か?」
「えっ?」
「取材」
「えぇ。ちょっと、緊張してるけど。平気よ」


取材を受ける前。
心配してくれてる郁サンに、私はいつものように微笑んで。


「…そっか。じゃあ。宜しく頼むな」
「ん」


取材を受けた。

【鷹梨透子】になるんだと。
世間に公表するための、取材を…。


取材を受けてる間。
私は、不思議な感覚に囚われていた。

どこか現実じゃないような。
フワフワした感覚。

でも、フワフワしてたのはカラダだけで。
頭の中は、しっかりしていて。

初めて味わう感覚だった。


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