COLORS~Clear~
「…その言葉が聞けただけでも。送ったかいがあったな」


気がつくと、家の前。
ゆっくりとブレーキを踏んで、郁サンが微笑む。


優しく、穏やかな笑顔…。


何となく、離れがたかったけど。


「ありがとう…」


スケジュールが詰まってる郁サンを、引き止めちゃいけない、思って。


「次に会えるのは、透子が出張から戻ってからかな」
「ん。おみやげ、楽しみにしててね」
「気をつけてな」
「ありがとう。じゃあ…」


私は、車を降りた。


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