COLORS~Clear~
あれから郁サンとは、主にメールでのやり取り。
時々、電話も。

私は、郁サンのことだけを考えて。
霧島クンのことは、考えないようにしていた。

朝のように。
ふと、思い浮かんでしまうことはあったけど…。



同時に。
ふたりの人が、同じように心を占めることなんてあるのか…。



それでも。
私と郁サンの距離は、確実に縮んでいくのが感じられていたし。

それが嬉しくて、声を聴くと郁サンに逢いたくなった。

逢えないなら、せめて、声が聴きたいと…。

ふとしたきっかけで、こんなにも気持ちが加速度を増すんだと。
私はすっかり、忘れていた。

少し、忘れていた感覚…。


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