COLORS~Clear~
「透子さん…」


―ドクン…ッ…


私はこの時。
もう既に、引き込まれてしまっていたんだろう。


「待って…!どこか部屋が空いてるか、フロントに確認して…」
「透子さん!」
「!」


霧島クンに腕を掴まれて。


「行かないで、下さい」
「涼佑クン…」
「ってか。行かせない」
「─────!!」


彼は後ろから。
私を抱きしめた。


“────────”


もう、動けなくなっていた。
私を…。


「行かせない…」
「涼佑、クン…」


―トクトクトクトク…


背中越し。
霧島クンの鼓動が伝わってくる…。

私よりも、10㎝くらい高い彼の。
息遣いも…。


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