COLORS~Clear~
私とは10歳。
その兄とは、一回りも違う沙奈は、もちろん、そんなことを知るよしもなく…。


「お姉ちゃん。しっかり鷹梨サン、誘っておいてね」
「えっ?」
「ちゃんと私がいる時にね」


ほんとに。
かなりお気に入りの様子。
そう、私に念押しをして。


「…わかった」


また、素直に。
沙奈にまで、私は頷いてしまった。

そんな私を見て。
兄は、


『大変だな』


目配せをして。


『そうね…』


返すように。
私は兄に、苦笑いをした。

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