COLORS~Clear~
それは、勝手に私がそう感じただけで。
気のせいかもしれないけど…。

ただ。
彼の視線が、あまりにまっすぐすぎて…。


「じゃあ。霧島クン、沙奈をお願いね。ありがたさ、よーく分かってるようだから。ビシバシ、しごいてやって」


ほんとに、


―見透かされる前に…


部屋を出ようとした時だった。


「…お茶。どうですか?」
「えっ?」


霧島クンが。


“っ────”


“大人”の顔をした。


「お茶、点てます。透子さんもどうぞ」


その瞳に。


「でも…」
「残念ながら。まだそんなに、上達してませんけど」


私は一瞬、ドキッとする。

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