愛する娘へ〜母からの手紙〜


次の日も、その次の日も、父は仕事から帰ると、母に小言を言い続ける。


でも、母は病気を患っている事など感じさせないくらい明るく、少し動作は遅くなったものの家事は前と変わらず続けていた。


私も、いつも明るい母に安心してしまって、小言を言う父を止めることはなくなっていきました。



そんな生活をして、4ヶ月が経つ頃。


母の病状は、少しずつ悪くなっていました。


歩いていても、めまいがして、多少フラフラすることがあり、車の運転はおろか、歩いて外に出る事もなくなりました。
手も振るえ始め、包丁を握らせる事も恐くて出来なくなってしまいました。


この頃の母は、出来ない事が出て来た事で、少し元気をなくしているように感じました。


それでも、私の前にいる時は、笑顔でした。


娘に、弱い母親を見せたくなかったのかもしれません。
母は、強い人なんです…。

それゆえ、沢山のことを一人で抱え込んでしまうのです。
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