愛する娘へ〜母からの手紙〜


主治医と話し合い、医療行為を行ってもらえる長期療養型の病院に転院させることにした。


私と父は、母に転院の話しをしに病室に向かった。


「お母さん、今度隣街にある長期療養型の病院に移ることになったよ」


母は、首を横に振った。


嫌だ………


母はそう言った。


「家に帰りたいの?」


しっかりとうなずく母。

母の目から一筋の涙が流れた。



家にいた時の母は、本当に幸せそうだった。顔色も良く、私たち家族に笑顔を向けてくれていた。
母にとって、病院にいるより家にいたほうが精神的にもいいことは分かる。


私だって、母が家にいてくれたほうが嬉しい…


けど、私は怖かったのです。


無理に自宅に連れて帰れば、母にまた苦しい思いをさせてしまうかもしれない……
ただでさえ体力が衰えてしまっている母に、また風邪なんか引かせてしまったら……
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