愛する娘へ〜母からの手紙〜
母は4人部屋に入った。
母を含めて3人が寝たきりの患者さんで、もう1人は80歳後半のお年寄りで、車椅子で生活していた。
部屋にはテレビもなく、しんと静まり返っていた。
「テレビないとつまんないね」
母は、その問い掛けには反応しなかった。
聞こえなかったのか、応える気がしないのか……
母は、力無く病室の天井を見つめていた。
これから母は、この病院のベッドの上で生活していく。
好きな花を見に出掛けることも、好きな食べ物を食べることも出来ず、ただただベッドに横になって一日を過ごす…