紅蓮の斜陽
緋次の手に刀が一本手渡された。
背後に一人が立ち、緋次の首元に白銀の刃があてがわれた。
介錯である。
「苦しまねえように切ってやるよ」
小声でそうつぶやいた。
嗤っている。
「そりゃあどうも」
「嬉しいね、これで鬼の忌子とはおさらばだ」
「そうだな」
此方としても、本当に嬉しいことだ。
ああもう、本当に十分だ。
刀を鞘から抜いて切っ先をあてがった。
…さようなら局長。
そして下らぬ運命をもたらした恨めしい母たちよ。
「……はッ!!」