紅蓮の斜陽
「生き場所を見つけたんです」
緋次は実に誠実な目で訴えた。
それと相反して、最期まで羽織ることを許された浅葱は裏切りを称えるかのように真っ赤に染まる。
「…世迷言を、お前を拾う愚か者などこの国には」
「いませんでした。
だから俺は、あの男について海を渡るんだと思います」
いつか来襲したあの米国の船のように脅威的で恐ろしい黒。
見たのはたった一瞬、されど今まで見てきたどんな人間よりもずっと魅力的な言葉を吐いた。
きっと、あの男の言葉でなら死に切れる。
そう思うから再度あの男の言葉を聞いてみたい。
生きろと言うならその気になれる気がしたのだ。