紅蓮の斜陽
「緋次いいい!!」
下らない会話を遮るように咆哮したのは副長である。
獅子のように鋭い目が怒りに燃えて、今にも顔から零れそうである。
「てめえ、異人と手え結ぶたあよくも俺達を馬鹿にしてくれたなア!!
この場でそいつごと叩き斬ってやる!!」
「うおおおお!!」
東洋人は煩いな、とひとつ文句を言って、男は腰の剣に手を掛けた。
「ちょっと待て」
「あ?」
「殺さずに逃げたい」
無茶を言っているのは重々承知であったが、しかしこの組みをつぶしたくはなかった。
局長への恩ではない。
ただ、国のためと騙る彼らを消してやりたくなかったと思っただけである。
「頼む」
「……ち」