紅蓮の斜陽



男は屋根に残る女性に目配せをした。


頷いた彼女は、男と同じく腰に差した剣を抜いて空中で一振りする。




「うわっ」


「なんだ!?」



突如辺りが刺々しい氷の岩に囲まれた。


どこから現れたかは不明だ。



「なんだこれっ」


「安心せい、西洋的妖術だ」


「安心の対象になってねえぞ!」


「うるせ」




行くぞ、と言って男は先に駆け出した。


氷を足場にひょいひょいと上ればあっという間に屋根に辿りついた。



「追え、追え!!」



氷をつたって刀を持った若い隊士たちが上って来る。


緋次が追いつき、屋根に上りきったところで男はニタリと笑ってそれを見下ろした。




女性が緋次の肩を引く。





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