紅蓮の斜陽
「緋次!」
下方から声がした。
じっと此方を見つめてくる局長の、その目にこめられた感情はなんだろう。
緋次は着物の帯を引き締めて、男の後に続いて屋根から飛び降りた。
素足であったことを忘れていたので、着地の瞬間に神経がビリビリと電流を流す。
悶絶の表情を浮かべて蹲る緋次を、男は呆れた表情で見下ろしてくる。
「なにしてんだ、行くぞ」
「なにしてんだ、じゃねええっ、何処にでもついていけると思うなよおお!!」
結構痛いの。
「ちょっ、おま、肩貸せよ…」
「そんなに痛いの?」
「痛いの」