カローレアの金
「さてそろそろ…」
アンも参加者の入口に回る。
受け付けは、がたいの良い男たちで溢れかえっていた。
「こいつら全員参加者かよ…」
アンはうんざりしながらもエントリーを済ませ、参加者の控え場所へと急いだ。
女王が来ているからか、衛兵の数が多い。アンと『鬼ごっこ』をしたことのある顔もちらほらあった。
「はあ…やりにくいな…」
アンが一歩下がると誰かにぶつかった。
その衝撃で頭から布が落ちそうになるが慌てて押さえ、なんとか元の位置に戻す。
「悪い、大丈夫か?」
ぶつかった男がアンに言葉を投げかける。
「いや、こっちも悪かった…」
アンは詫びながら男の方を向いて驚愕した。
茶髪で色素の薄い瞳…周りの奴らと比べて細い体…ひ弱そうに見える。
けれど…
「俺は大丈夫だ」
そう言って笑った男…
ひ弱に見えるのに、なぜかアンはこの男に勝てる気がしなかった。
アンが何も言えないでいると、その男はじっとアンを見つめた。
アンは少しばかり冷や汗を浮かべる。
ここでばれたら計画が台無しだ…しかもなぜだろう。この男にはあっさりと捕まってしまう気がする…
そんなアンの不安をよそに、その男は
「お前細いなー‼」
などと、感想を述べた。