カローレアの金
「そんなのは友達とは言わない‼」
ジャンは思わず声をあげていた。
しかし生気が薄いアンは何も反応しない。
「孤児院の大人は、先生は何も言わないのか?」
「先生…知らないよ…?だって私とお友達の秘密だもん……」
この時、ジャンの中では激しい怒りが込み上げていた。
「…お前、名前は?」
「…アン」
「よし、アン。この国から出よう。本当のお前の居場所を見つけるんだ。それまで俺が一緒にいてやる」
「…お友達…?」
「…いや、さすがにそれでは通用しないかな…俺は今から、お前の親父だ。いいな?」
ジャンはアンに向けて手を差し出す。
アンはこぼれんばかりの笑みを浮かべ、ジャンの手を取った。
その日から、アンとジャンは義理の親子となった。
はじめはアンを盗賊にするつもりはなかった。
しかしいつ見ていたのか、ジャンの仕事風景を見、やり方を覚え、盗みに手を染めた。
また、レベペ盗賊も急激に成長を遂げ、有名になった。
そのお頭の子供として、アンの顔も知れ渡ってしまったのである。
ジャンが気づいた時にはもう遅く…アンは立派にレベペ盗賊の一員となっていた。
「あいつ…ここにいたいって思える場所…まだ見つからねぇのかな…」
ジャンが天井に向けてそうつぶやくと、鷹が鳴いた。