カローレアの金
「さあ、私が勝ちました。お名前を聞かせてもらいましょうか」

「……アン」

「へ?」

「だから‼……アンだよ、名前」

「な‼」

大臣が愕然とする。

「女の子…でしたか」

さすがに女王も動揺を隠しきれなかった。

「悪かったな、どっちか分からない容姿で」

アンは少し拗ねてそっぽを向く。


「女王陛下‼ど、どうするんです‼女を兵に入れますか!?」

大臣がひどく慌てて女王に問う。

カローレア王国では、兵に女がいてはいけないという決まりは無い。
もしそんな決まりがあったら女王は前線で戦えていない。


「…入れましょう。たとえこの子が女の子であっても、あの身体能力はきっと役に立ちます」

「しかし兵にはなんと説明をするんです‼」

「言わなくていいんじゃないですか?
幸い彼女のことを知っている者達は皆、彼女は男の子だと思い込んでいますし」


女王は未だにそっぽを向いているアンの名前を呼んだ。

「あなたは、この国の兵に入ってもらいます。今からあなたの名前はロイ。いいですね?」

「…はい」

「よろしい。ではあなたの上司を紹介しましょうか。ついてきなさい」


女王はアンの横を通り、自らが入ってきた扉とは違う扉へ向かう。

アンはそんな女王の後ろを黙ってついていった。


一際大きな扉を開き、女王は廊下を進んでいく。

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