カローレアの金
「なあ、これからどこに行くんだ?」

「兵士達が生活している別棟です」

「ふーん…」

女王の前に、再び扉が現れた。

「今日は天気が良いのでこちらを通りましょうか」

そう言って女王が扉を開けるとそこに広がるのは…

「…すげぇ……」

一面の花だった。

「私のお気に入りの庭園です。きれいでしょう?」

「ああ…」

「季節ごとに咲く花も異なりますから、楽しめますよ」

女王が笑って、歩みを進めていく。

アンは庭園の方を見ながらついていった。


ふと前を向くと、二人の兵士が女王に頭を下げ、止まっている。
そして女王が去ると再び動き出した。

アンはその光景を見て、目の前にいる人物は、王なのだと再認識する。


「…なあ女王陛下。言葉遣いとか気にした方が良いか?」

女王は振り返らずに

「いいですよ、気にしなくて。あなたとは近い存在でありたいですし」

柔らかくそう答えた。


「さ、着きました」

アンは顔をあげて別棟を見つめる。

「…でかいな」

「兵士が多いので」


さっきまでいた城の、三分の二程の規模だった。

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