カローレアの金
女王は扉をノックし、

「私です、入りますよ」

一方的に言って、扉を開けた。


「女王陛下、いつも返事をしてから入室してくださいと…」

困り顔でそう言ったのは、アンと格技大会の時戦ったカインだった。

「そんなことよりカイン。あなたの団に新しく加わる人物です。見覚えがあるでしょう?」

女王はアンの前から体をどかし、カインに見せた。


「…ロイ‼」

カインが驚きの声を上げる。

「はは…どうも、カイン」

「お前入るの!?しかも俺の団!?」

カインはアンの肩を両手で掴み、目を輝かせた。


「あー…女王に負けちゃって」

「女王陛下に?あー勝てるわけねぇよ。女王陛下はこの国最強の兵士でもあるんだぜ?」

アンは女王の方に顔を向ける。


女王はニコニコしながら

「あら、言ってませんでした?まあ言う必要も無いと思っていたんですが…」

あっけらかんと答えた。


冗談じゃない。アンは心の中でそう思っていた。
最強の兵士と知っていれば、戦おうなんておもわなかった。


「とにかく、カイン。ロイは明日からあなたの団に加わります。訓練もあなたの団で受けさせてください。ただ、ロイには違う仕事も与えようと思っているのでそこは分かってください」

「了解しました」

カインはアンの肩から手を離し、女王に敬礼をした。


「違う仕事…なんだそれ、聞いてない」

アンはあからさまに不満だ、という表情を女王にぶつけた。

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