カローレアの金
後継者
「ここですかね、いるとしたら」

「ここは?」

アンと女王は城に戻ってきており、城の最上部、日当たりのよい廊下に立っていた。

「書斎です」

女王が扉を開ける。

そこは小部屋で、正面に大きな窓が一つ。そして左右の壁には天井に届くほどの高さの本棚が並び、様々な本がぎっしりと並べられていた。


「ああ、やはりここでしたね。最初に部屋に行かずに良かった」

そう言う女王の目線の先には、一人の青年…。

年はアンより少し上そうで身なりがよい。窓から差し込む日の光によって栗色の髪の毛が透けている。
梯子に腰をかけ、本を読んでいた。

「アレン」

女王がそう呼びかけると、アレンと呼ばれた青年は本から顔をあげた。


「母上」

「母…上!?」

アンが驚きの声をあげる。

「あれ、そちらの方は?」

梯子から降り、アンに視線を向ける。

「さっき兵に加わったロイです。兵士プラス、あなたの先生になる方です」

女王がそう説明する。

「…は?先生?」

「あなたには、このアレンの剣の先生もやってもらいます」

女王がにこりと笑顔を向ける。



< 35 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop