カローレアの金
「…ははっ、王子、何を…」

「先ほど握手したとき、その手は男の手ほど骨ばっていなかった。僕とあなたは年が近い。普通なら、同じような手の感触で、少しごつごつしているはずです。でもそうじゃない。

…ということは、あなたは女性なんじゃないですか?本当は」


鋭い指摘にアンはたじろぐ。
あの握手の時に…。しかも観察眼がすごいな、この王子…。

女王の方を向くと、仕方ない、という顔をしていた。

「アレンは頭が良いわね。あの握手と、年齢の会話からそこまで答えを出すなんて」

女王がアンの肩を掴む。

「じゃあ…」

「あなたの考えは正しいわ。この子は本当は女の子」

「…私の名前は、ロイではなく、アンです」

アンは王子の目を見据えて言った。


「アン…」

「でも王子。他の人たちには私が女だということは内緒なので、その名前は人前では呼ばないでください」

「わかった。それで敬語をやめる気は…」

「ありません。ていうか王子、諦めたんじゃないんですか?」

アンは苦笑いを浮かべる。


「んーでもやっぱり少しなあ…」

アレンは笑顔を浮かべる。

その柔らかい笑顔に、アンの心が少し動きを見せる。

アン自身はその動きに気づいていなかった。

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