カローレアの金
「さ、顔合わせも済んだところですし。アレン、あなたの剣の稽古は週に一回程度ですからね」

「はい、わかりました母上」

「ではアン、行きましょうか」

「…廊下に出たらその名前で呼ぶなよ」

アンと女王は、そうして書斎を後にした。


「ところで女王陛下」

廊下を歩いていたアンが思い出したように口を開く。

「俺はここで暮すんだよな?じゃあ部屋は別棟の方か?」

「いいえ。そちらだとばれる可能性が高くなるので、あなたが住むのはこちらの城です」

「…なんか至れり尽くせりだな」

「その分働いてもらいますよ」


女王はにやりと笑った。

「こちらに」

女王は廊下を曲がる。

「え、そっちなのか?王の広間はこっちだろ」

「ア…ロイに部屋の案内をするんです」

なるほど。
アンは小走りで女王を追いかける。

しかし…

「おい、今本名言いかけただろ」

「さあ何のことでしょう」

まったく、この女王は…

「うーん…この部屋、ですかね」

女王が一つの扉を開けた。

そこは先ほど入ったカインの部屋より少し広く、ベッドと机が置かれていた。

「この部屋で暮らしてください。必要な物は、また後で運んできます」

「ここは…?」



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