カローレアの金
都市から少し離れ、静かな郊外に建つ数々の小屋

元は廃墟だったが、アンがいる盗賊―レベペ盗賊―がこの国に来てからそこに住みついている。

「ただいまー」

「おう‼アン帰ったか‼」

「遅かったじゃねえか‼」

帰ってきたアンに対して様々な言葉が大声で投げかけられる。

「うるせーよ。衛兵との鬼ごっこが長引いちまったんだよ。おら食糧」

「おうお疲れ‼」

「何がお疲れだよ。どうせ食糧は足りてるくせによ…」

「ところでアン、そいつは?」

「おいお頭ぁ‼アンが子供連れてきたぜ‼」

一人のガラの悪い男が奥に向かって叫ぶ。


「ああ?アンが子供を?」

奥から出たきた男は、黒髪の男で、腰には剣を携えていた。
年は三十五。

この男こそが、レベペ盗賊の頭であり、同時にアンの父親であるジャンだった。

アンは抱えていた子供を椅子に下ろし、ジャン達と向かわせる。
子供はジャン達のいかつさにすっかり怯えていた。

「拾った。孤児で、五歳だってよ。孤児院からは抜け出したらしい」

「拾ったってお前なぁ…」

「ここにいさせてもいいだろ?」

「うーん…」

ジョンは子供をじろじろと見た。

「お前、男か?」

「男…です」

子供は震える声で答えた。

「そうか……今からお前の名前はジルだ。十二になるまで盗みはさせない。孤児院に戻るのも自由だ。てめぇの道は、てめぇで決めろ。いいな?」

「は、はい…」

「礼儀はなってるじゃねぇか」

ジャンは笑いながら、大きな手でジルの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


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