カローレアの金
「ったく、お頭はアンに甘いなー」

「うるせえ。

…ジル、ありがとうな。アンの奴の事をそんな大事に思ってくれていて。あと嘘ついてごめんな」

「嘘…?」

ジルがきょとんとする。


「戦いのとき、仲間がヘマしたら俺は助ける派だ。大事な仲間が守れるなら、俺は自分の身をも犠牲にしてもかまわない」

「俺なんて何度お頭に助けられたかわからねえよ」

「そのたびに俺が負傷するんだけどなあ‼」


豪快な男達の笑い声が小屋に響いた。

ジルはその声を聞いて怯えることはなく、満面の笑みを浮かべた。

「さあ、いつアンの奴を返してもらいに行こうか」

「お頭、どうせならアンを助けて、そのままこの国を出ちまおう。派手にやりすぎたのか最近衛兵が多くてな。仕事がやりにくい」


ジャンは少し考え込んだ。

「…よし、わかった。じゃあ三日だ。三日後、アンを返してもらいに行く。

三日の間に、この国を出る身支度と、やれる限りの仕事をしておけ」


男達がジャンの指示に大きな声で返事をした。

そしてぞろぞろと小屋を出て行く。

小屋の中には、ジャンとジルだけが残った。


「ああ、ジル。お前はどうする?この国を出るか?」

「え…」

「お前はまだ小さいし、俺達と一緒にいるのは危険が伴うからな。選べ」

「…そんなの、ついていくよ‼お父さんが言ったんだ、ここの人たちは家族だって…。
僕は、皆と一緒にいたい‼家族と、一緒にいたい‼」


ジルのその言葉にジャンは微笑みを浮かべる。

窓の外では、月が明るく、輝いていた。



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