カローレアの金
「あれ、素直に当たった方が良かったのか?」

アンが真面目な顔でカインに尋ねる。
カインはきょとん…とした後、声を押し殺して笑った。カインの周りの兵士たちも肩を震わせている。


「てめぇ…」

よろけた男が体勢を立て直し、顔を赤くしていた。

「あ、すみません。動きが鈍かったもので」

「ふざけんな‼」

「ふざけてなんか…!?」

アンが反論しようとした時、アンは拘束された。
もう一人の男に。

「よくやった‼」

男が拘束している男に向かって褒める。


「………」

「さあ大人しく喰らってもらうぞ‼」

男は再度、拳を振り上げアンに殴りかかろうとする。

「はあ…めんどくさい」

アンはため息をついてから、向かってくる男の腹に蹴りをいれた。
その威力は男が軽く吹っ飛ぶ程だった。

「お前も離せよ」

拘束している男の顎に頭突きを喰らわせ、解放された瞬間にその男にも蹴りを喰らわせる。

先ほどの男と同じ方向に飛んでいき、二人が地面に這いつくばりながら並ぶ。


アンはその場に歩いて行き、二人の頭を掴んで、互いの額をぶつけさせた。

男達は眉間を押さえて地面の上を転がる。


「こんなんでいいのか?カイン。もっとやった方がいいか?」

「…いや、これは戦争じゃないからな。ここまででいい。お前の勝ちだ、ロイ」

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