カローレアの金
「で?なんなんだ?こっちはカイン達が暮らす塔だろ?」
「まず、謝っておく。ごめんな」
「…なんだよ」
「いやほんっとごめん」
「なんなんだ!」
アンが怒鳴ると、カインは一つ咳払いをしてから
「お前が盗賊の子供だってバレちまった」
笑顔でそう告げた。
「はああああ!?」
笑い事じゃない。笑えない。
「いやーうっかり口を滑らせてさぁ。俺とお前で対戦経験があるって言っちまって、そこから…」
「ふ、ふざけんな!」
「あ、やっぱり怒る?」
「当たり前だ!」
「そしたらさ、全員がお前を呼び出せっていうからさ」
カインは笑いながら塔の扉に手をかけた。
「ちょ、まだ心の準備が…!」
アンが制止するのを聞かずに、思い切り扉を開く。
中にいる衛兵たちの視線が一斉に集まった。
「…おい、新入り」
一人がアンに鋭い視線を向ける。
「お前、あのレベペ盗賊の一人息子だって…?」
正確には息子ではない。
しかしそのことは秘密。アンは訂正を入れずに頷いた。
「…なんで、言わなかった」
「言えませんでした、そんなこと」
「ふざけんな!」
アンがびくりと肩を震わせる。
ズンズンと、その男は近づいてきた。
「盗賊の息子だと…?あのレベペの…?」
男はアンの肩を掴む。
「すごいじゃねぇか!なあ!」
「…へ?」
「あの身軽なすばしっこいガキだろ!?お前が!すげえよ!」
周りの衛兵たちも首を縦に振っている。