カローレアの金
別れ
「レベペだ…!何で…!」
衛兵たちがざわつく。
カインは冷や汗を浮かべながらも笑っていた。
きっとあいつらの狙いは…ロイだ。じゃなきゃ、こんな大きなリスクは侵さない。
「…はっ、ロイを取り戻しに来たんですか?」
「カイン団長!」
衛兵たちの前に立ち、剣を構えながらカインが尋ねる。
「…おいお前ら。行け。見つけ次第、かっさらえ。一刻も早く終わらせて逃げるぞ。仕事する奴は仕事しろ!」
ジャンがカインから目をそらさずに声を上げる。
その言葉に盗賊達はやる気をみなぎらせ、「うおおおお!」と城へと侵入する。
「お前ら!絶対に通すな!」
カインも衛兵たちに向かって声をあげる。
門前では、カインとジャンが向かい合い、その周りで盗賊と衛兵が剣を合わせていた。
「えーっと?ロイを取り戻しに来たのかってか?」
「ええ。貴方の一人息子である、ロイを…」
ジャンは顎を掻く。
「わりぃが…何か勘違いしてねえか?」
「…は?」
「俺にロイなんていう息子はいねえよ。息子がいるとすれば…それはジルだけだ」
ジャンがそう言うと、ジャンの背後から小さな子供がこっそりと顔をのぞかせる。
「ジル、お前も行け。見つけてこい」
「わかった!」
ジルは頷き、走り出した。
「な!」
小柄なためか、すばしっこいためか、衛兵に捕まることなく、城へと入って行った。