カローレアの金
「なあ教えてくれよ、衛兵さん」
ジャンがゆっくりと剣を抜く。
彼の纏う雰囲気に、カインは思わず唾を呑んだ。
「…俺の可愛い可愛い一人娘は…アンはどこだ?」
「…そんな奴に心当たりは無い」
「そうかそうか…じゃあ、そこどけや!」
カインとジャンの剣が混じる。
あまりの衝撃に、カインが少し下がるが持ちこたえ、ジャンの剣を払った。
「へえ…面白いな、あんた」
「それはどうも。城に貴方を入れるわけにはいかないのでね…場合によっては殺させてもらいます」
「死ぬのはどっちかな」
どちらからともなく、地面を蹴り、再び剣が混ざった。
「アン姉ちゃん…どこ…!」
ジルは城内を走り回っていた。
目についた大きな扉を開ける。ジルの目に映ったのは、綺麗な金色の髪をなびかせながら、剣を腰に携帯する、ドレス姿の…ローズ女王だった。
「…違う、金色だけど、違う…」
「…あら、ボク?どうしたの?」
女王は小さな侵入者に気づくが、剣を抜こうとはしなかった。
「間違えました!ごめんなさい!」
「いいのよ。何か、探し物?」
「あの、アン姉ちゃんを…」
「…そう。見つかるといいわね。行きなさい」
ジルは頭を下げて再び走り出した。
「女王陛下…!?ご無事ですか!?」
衛兵が駆け付ける。