カローレアの金
「アン姉ちゃん…?」
「決めなきゃなぁ」

アンはジルの頭を撫でてから抱きかかえ、来た道を歩き出した。



「へっ、どうした衛兵さんよぉ!息が切れてるし剣がぶれっぶれだぜ?」
「くっ…」

ジャンと対峙するカインは、限界まで追い詰められていた。
元々、アンに敵わない彼が、アンの上をいくジャンに勝とうなど無謀なことだったのだ。

「大人しくアンを出しなぁ!」
「だから、知らないと…っ」

ほんの一瞬力を緩めただけだった。
しかしそれが致命的だった。
カインの剣はジャンによって弾かれ、手元から抜け落ちてしまったのだ。

「終わりだな。てめぇを殺して、俺はゆっくり探し物をさせてもらうぜ…!」

ジャンが剣を振り上げた瞬間

「てめぇらやめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

アンの声が響き渡った。
その声に、衛兵も、レベぺの盗賊も、女王も動きを止める。

ジルを抱えたアンは、ゆっくりとジャンとカインの元に近づく。

「…よぉ、久しぶりだなぁアン」
「よぉクソ親父」
「ロ、ロイ…?」

カインがわずかに遅れて状況を理解する。

「お前まさか…!」
「あー、なんだ?こっちは愛娘と再会してんだ。お前黙ってろよ」
ジャンは振り上げたままだった剣を下ろそうとするが

「まあ焦るなよ親父」

ジャンの剣とカインの間に、アンの剣が割り込んだ。
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