カローレアの金
アンはずかずかと部屋に入り、女王の横にある剣を持つ。
「私の居場所は、私が決める。他の奴が口出しすんな」
ローズ女王はしばらく驚嘆の表情を浮かべた後
「まあ…まあまあ!」
嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「あなたの気持ちは、ここにあるのですね?」
「…王子の育成も終わってないしな」
「ふふふ。嬉しいです、私」
「うるさい」
アンは軽く剣を振り、感触を確かめる。
「では行きましょうか」
「ああ」
二人で部屋を出て、外へと向かう。
「ちなみにロイ?あなた、お父様に勝てたことは?」
「一度も無い」
「…はい?」
「ま、『やってみなきゃわからない』だろ?」
アンはにやりと笑いながら外へ出る。
ローズ女王も困ったように笑いながら後に続いた。
「…あれ、女王陛下?先程とお姿が変わってませんけど?」
ジャンが鋭く睨みつける。だいぶ気が立っているようだった。
「選手交代だよ親父。私がやるさ」
「…あ?なんでてめぇが出てくるんだよアン」
「…私の居場所は私が決める。あんたら二人に、物みたいに取り合いされる筋合いは無ぇだろうが」
その言葉に、ジャンは少なからず驚いた。
「…ほう、負けたらちゃんと戻ってくるんだろうなぁ」
そういうジャンの顔には笑みが浮かんでおり、先程までの異様な殺気は少し落ち着きをみせた。
「当たり前だ。負けて戻ることになったら、親父の言うことなんでも聞いてやるよ」
「そりゃあ…勝たねえとなぁ」