カローレアの金
「あ、アン!」

場内を走っていると、捕らえられたレベペの一味がいた。

「てめえら…何捕まってんだ!」
「だってあの女王強すぎるだろ!」
「確かにそうだけど…!ったく!」

アンは急いで彼らの縄をほどき、ついてこいと再び走り出した。

「あ?どこに行くんだ?」
「バカ、親父たちはもうこの城から出て行ってるよ」
「マ、マジかよ!」

庭に出ると、アンはすぐに小さな扉を見つけ、開いた。
丁度レベペの皆が乗った荷馬車が通りかかる。馬車の上はアンの出現に騒然とした。

「おらお前ら乗り込め!」
「お、おう!恩にきるぜアン!」

馬車を動かしていた奴が気を利かせて、少しの間馬車を止めてくれた。
最後の一人が馬車に乗った時、その手が当然のようにアンに差し出された。

「アンもほら!乗れよ!」

ジャンはその光景を黙って見ていた。

「…私は、乗らない。皆とは行かない」

その言葉にレベペはどよめく。

「ここには、お前らに…皆にお別れを言いに来たんだ」
「そんなもんいらねえよ」

ジャンの言葉が冷たく響いた。

「お前は、ここで生きて行くって決めたんだろ。だったらもう、俺たちみたいなやつと関わらない方がいい。出世に響くぞ」
「な、なんだよ…それ…」
「出せ」

ジャンは馬車の操縦者に短く指示を出す。
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