カローレアの金
「合意のうえで…」
女王はあごに手を当てて考えた。
盗人に…合意のうえで連れ去ってもらうなんてことがあるのか…と。
「女王陛下、ひとつだけ、部下の調べでわかったことがあります。
その金髪の盗人はレベペ盗賊の頭の子供だそうです。しかも一人っ子。
奴を捕らえれば、盗賊ごと捕まえることが出来るかもしれません」
「レベペ盗賊とは、国を渡り歩いている盗賊ですね。結構有名な…
そこの頭の子供とは…手際の良さも納得できますね」
「女王陛下。楽しんでませんか?その子供についての話を聞くことを…」
サインスがじろっと女王に睨みをきかせる。
「あら嫌だ。ばれていましたか」
あっけらかんと女王は答えた。
「陛下‼あなたはこの国のトップですよ!?身分のお高い方です‼
あなたが盗人など、盗賊など、気にしてはなりません‼」
「あら、でも国民の平和を守るために、国民の敵となる盗賊の知識も必要だと思いますけど?」
女王はにっこりと答えた。
大臣は反論できない。
その様子を見た女王は笑みを浮かべたまま、衛兵の隊長に向き直る。
「その子を捕まえたら、私と話をさせてちょうだいね」
「はっ。わかりました」
「レベペ盗賊の居場所はわかりますか?」
「いえ…わからなくとも、再び、あの子供は現れます。それにあいつの髪は目立ちますからな」
「金髪だったわね…」
「では女王陛下、失礼いたします」
そして、衛兵の隊長は一礼をしてから女王の御前を去った。
「…陛下、三日後に行われる『格技大会』についての会議がございます。移動を」
「わかりました」
サインスの言葉によって、女王は立ち上がり、王座から離れる。
そして、会議室に向かった。