ワタシハムテキ

「赤くなったって事は俺のこととりあえずは男として見てくれてたってことだよな？」

俺は咲の返答を待つ

すると咲は静かに首を横に振った

「え……？」

「ごめ……ちょっと…離して……」

俺は静かに咲を離す

咲は一呼吸置いて口を開いた



「慎は……元彼」

「……え？」

「半年くらい前に振られちゃったんだけどね」

咲は無理に笑顔を作る

半年前…俺がまだ慎と出会ってない頃だ

「でね……今日とかも友達がうちのために企画してくれた合コンなんだけど、席全然遠くて喋ることすら出来なかったの

その友達、うちなんかほっといて慎と話してるし

で、やけになって潤くんにめっちゃ話し掛けた

そしたらぶっきらぼうなんだけどその中に温かさみたいなのが見えて、いい人なのかなあって思った

それで、潤くんに惹かれかけた

でも、うちの中の何かが、潤くんに惹かれるのを止めてるの

何だろうね

慎じゃなきゃダメだって思ってる

気持ちなんていつかは変わって、うちも新しい人を見つけるって事くらい分かってるんだけどね……」


「……そっか」

「……さすがにこんな気持ちで潤くんと付き合えないでしょ？」



「………良いよ」



「え？」



「俺が、慎を忘れさせてやる」



咲は驚いた目をしている

「…ほん、と…？」



「あぁ」