ワタシハムテキ
「…もうやめろよ」

そう言って潤は咲の手を離してあたしを抱きしめた

「莉奈は俺のもんだ。これ以上何かしたらタダじゃおかねぇからな」

潤………

咲はそのままこの場を去った




しばらく無言の時間が続いた後、あたしが口を開いた

「…なんで潤、ここにいるの…?」

「………」

潤は何も答えてくれない

「潤……?」

顔を上げようとしたけど、潤はそれを妨げるようにあたしを抱きしめた

「…潤……?」

「もうちょっとで莉奈の顔が傷つくとこだったって思うと…」

潤……声、震えてる……?

「ごめ…ごめんな……」

あたしを抱きしめる手の力が強くなる

あたしは手を潤の腰に回して首を強く横に振る

「俺…」

「そんなに酷いことされてないからっ」

あたしは明るく言う

「いや…」

「今日だけだよぉ?あんなことされたの。だからちょっとびびっちゃった汗」

「莉奈…」

潤があたしを離し、目が合う

お互い目が潤んでいた








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