甘い誓いのくちづけを
「何笑ってるのよ!?あたし、本気で怒ってるんだけど!」


「わかってるよ……。でもこれから話す事を聞いたら、さゆりも笑っちゃうかもしれないよ?」


傷付いた心が痛まないと言えば、嘘になってしまう。


だって、今もまだ胸の奥は強く痛むから…。


だけど…


痛みを感じていてもこんな風に笑えるのは、間違いなく理人さんのお陰。


心を乱されている事には変わりないけど、彼には本当に感謝している。


「……じゃあ、何故か幸せそうに見える笑顔の理由を教えてよ」


どうやら無意識に笑い続けていたみたいで、さゆりがさっきよりも怪訝な顔をしている。


あたしは微苦笑を零した後、今度は理人さんの事を話し始めた――…。


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