甘い誓いのくちづけを
今度は梅酒をロックで注文したさゆりが、不思議そうな顔であたしを見て来る。


「ねぇ、本当に初対面だったの?」


「うん」


まだ信じられないらしいさゆりは、しばらく腑に落ちないような表情をしていたけど…


「……まぁ状況が状況だったから、瑠花の人見知りも出なかったのかもしれないわね」


どうやら辿り着いた結論に納得したのか、今度は笑顔を見せた。


「それで?」


「え?」


「翌日にもまた会ったんでしょ?瑠花の人見知りは、どこに行ったんだろうね〜。あたしにすら、中々打ち解けてくれなかったのに」


意味深な笑みを浮かべたさゆりが、からかうようにニヤニヤと笑っている。


あたしはカシスオレンジを飲んでから、ため息混じりに苦笑を零した。


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