甘い誓いのくちづけを
「お金を返さなきゃいけないと思ってたから、それどころじゃなかったのよ」


「お金、ねぇ」


「だって、初対面の人にバーでご馳走して貰っただけじゃなくて、ホテル代まで出して貰ってたのよ?いくら何でも、そのまま無視する訳にはいかないじゃない……」


「でも、結局受け取って貰えなかったんでしょ?」


「うん……」


実はバーでのお金は疎か、宿泊代も受け取っては貰えなかった。


その上、理人さんはレストランでの食事代まで支払ってくれて、タクシーで家まで送ってくれたのだ。


「しかも、また会う約束とかしちゃったんでしょう?」


「……っ!……どうしてわかったの?」


見透かされて驚くあたしに、さゆりは呆れたようにため息をついた。


< 107 / 600 >

この作品をシェア

pagetop