甘い誓いのくちづけを
必死に言葉を並べるあたしを余所に、さゆりは涼しげな表情でビールを飲み干した。


いつもの事ながら、彼女の飲みっ振りには感心してしまう。


「いいんじゃない?」


さゆりは通り掛かった店員にコークハイを注文した後、柔らかく微笑みながら言った。


その言葉の主語がわからなくて小首を傾げると、彼女がフライドポテトを摘みながら続けた。


「瑠花にとっていい出会いなら、別に恋でも友情でもいいと思うよ」


しみじみと話したさゆりは、自信ありげに瞳を緩めた。


「あたしは、断然前者だと思うけどね」


「だから、本当にそんなんじゃないんだってば……」


さゆりは、困惑と疲労で眉を下げるあたしを見つめながら、やっぱり楽しげに笑っていた。


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