甘い誓いのくちづけを
駅前でさゆりと別れて、自宅の最寄駅まで電車に揺られた。


慣れた道だとは言え、人気(ヒトケ)が少なくなった住宅街を一人で歩くのは、アルコールの力を借りていても心細くなる。


だけど…


3日前に理人さんとタクシーで通った道だと思うと、不思議と足取りは軽くなった。


そういえば、あの日は美味しいワインのお陰で心地好くなっていたあたしの話に、彼はずっと笑顔で付き合ってくれていた。


人見知りなはずなのに、理人さんの前だと自然と饒舌(ジョウゼツ)になってしまう。


そんな風になるのは、きっと彼が纏う優しい雰囲気とアルコールの力のお陰に違いない。


そんな事をぼんやりと考えて自然と笑みが零れた時、ふと頭の中に理人さんの台詞が過ぎった。


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