甘い誓いのくちづけを
あたしの事を心配してくれている事も、突然の出来事で困惑させてしまっている事も、ちゃんとわかっている。


だけど…


あたしにとって、今はまだきちんと話せる状況じゃない。


「まだちゃんと気持ちの整理が出来てないから、もう少しだけ待って。今度、改めてちゃんと話すから……」


「……二人が納得してるなら周りはとやかく言えないけど、相手のご両親は大丈夫なの?」


「向こうのご両親には、文博がちゃんと説明するよ」


「でも、式場だって予約したって……」


「式場は予約しただけだったし、文博がキャンセルしてくれるから。ごめん、仕事に戻らなきゃいけないからもう切るね」


「あっ、瑠花!」


一方的に告げて携帯を耳から離そうとすると、すかさず力強い声音で呼び止められた。


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