甘い誓いのくちづけを
「……もっ、もひもし?」


やだっ……!


『もひもし』って何よっ!?


空いている左手で真っ赤になったであろう頬を押さえた時、あの柔らかいトーンでクスリと笑う声が聞こえた。


「それって、新しい挨拶?」


「……っ、す、すみませんっ!!」


いくら緊張しているとは言え、こんなにもマヌケな挨拶をした事なんて無い。


「すみませんっ……!本当にすみません!」


恥ずかしさと情けなさを抱えながら、頭をペコペコと下げる。


「そんなに謝らないで。瑠花ちゃんのお陰で、眉間のシワが取れたよ」


クスクスと笑ってそんな風に言ってくれた理人さんの表情を、反射的に脳裏に浮かべてしまう。


その瞬間、胸の奥が高鳴った気がした。


< 131 / 600 >

この作品をシェア

pagetop