甘い誓いのくちづけを
「今、大丈夫だった?」


「あ、はい!」


極度の緊張のせいなのか、思わず背筋をピンと伸ばしてしまう。


「そんなに緊張しないで」


すると、理人さんはすかさずクスッと笑った後で、それを見透かすような口振りで言った。


「いえ、緊張って言うか、心の準備が……」


「心の準備?」


「えっと……ちょうど理人さんの事を考えていた時に電話が掛かって来たので、あまりのタイミングの良さにビックリしちゃって……」


自分がとてつもなく恥ずかしい事を口にしたのだと気付いたのは、急に理人さんが黙り込んでしまったから…。


「あっ……!す、すみませんっ……!」


あたしは頬が益々熱くなったのを感じながら、慌てて勢いよく頭を下げた。


< 132 / 600 >

この作品をシェア

pagetop