甘い誓いのくちづけを
「いや、えっと……謝らないで」


「でも……あたし、何か変な事言っちゃって……」


面と向かって話している訳じゃないけど、居た堪れなくなってこの場から逃げ出してしまいたくなる。


「もう、本当にすみません……。あの、今の話は忘れて下さい……」


穴があったら入りたいと、初めて本気で思った。


「いや。急に黙ったから、誤解させてしまったかもしれないけど……」


そんなあたしを余所に、電話口からは理人さんの優しい声が聞こえて来る。


心地好さすら覚えそうになるトーンに、ついつい聞き惚れてしまいそうになっていた時…


「嬉しいよ」


聞き間違いじゃないかと思うような言葉が、まるで心を撫でるように耳元で甘く優しく響いた。


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