甘い誓いのくちづけを
また恥ずかしい事を口にしたのだと気付いたのは、電話の向こうにいる理人さんが再び黙り込んで、さっき以上に気まずい沈黙が訪れてしまったから…。


もっとも、気まずいと感じているのは自分(アタシ)だけで、彼にとってはただの沈黙でしか無いのかもしれないけど…。


頭の中では色々な事を考えているのに、何を話せばいいのかわからずにいた時…


「ありがとう、嬉しいよ」


クスリと笑った理人さんが、優しく言った。


そして…


「瑠花ちゃんの声が聞きたかっただけなのに、そんなに可愛い事を言って貰えるなんて思ってもみなかったよ。お陰で、午後の仕事が捗りそうだ」


理人さんは甘く穏やかな声音のまま、続けてサラリとそんな事を口にした。


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