甘い誓いのくちづけを
「大丈夫です」


「そう、良かった。ありがとう」


その直後に胸の奥がキュンとしたのは、すかさず耳元で響いた声があまりにも嬉しそうだったから。


母と電話をしていた数十分前に抱いていた憂鬱が嘘のように、心が躍るような気持ちになる。


きっと微笑んでいるであろう理人さんを想像して、やっぱり今すぐに会いたいなんて思った。


「今日はもう時間がないから、また改めて連絡するよ」


「はい」


「瑠花ちゃんのお陰で、午後も頑張れるよ。ありがとう」


「いえ、そんなっ……!あたしの方こそ、ありがとうございました。あの、午後も頑張って下さい」


「うん、瑠花ちゃんもね。じゃあ、また」


理人さんは本当に急いでいたみたいで、あたしが返事をする前に電話は切れてしまった。


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