甘い誓いのくちづけを
最初にあたしの内(ナカ)に刻まれたのは、低くて優しい声。


耳を撫でるような声音が届いたその一瞬で、確かに柔らかなトーンに魅了されそうになっていて…


心地好いとも思えるその音に、心は敏感に反応していた。


次に刻まれたのは、あの綺麗な色をした瞳を持つ、眉目秀麗な顔。


無駄が無いようにすら思える程に整った顔立ちをしたその男性(ヒト)は、あたしの視界を独占するように瞳に映った。


その直後にダイヤモンドを想像したのは、きっとその時に左手の薬指にエンゲージリングを着けていたから。


ただ…


あの時、あたしの目の前で柔らかい微笑みを浮かべたあの男性(ヒト)は、そこに着いていた宝石(イシ)なんかよりも遥かに輝いて見えたけど――…。


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