甘い誓いのくちづけを
「ごめんね、今日はお昼には帰らなきゃいけないの」


「どうして?お仕事なの?」


寂しげに眉を下げた男の子に小さな笑みを浮かべた直後、それまであたしの右手を掴んでいた女の子がその手を離した。


「違うよ!瑠花ちゃんは、これからデートに行くんだよ!」


「えっ?」


驚くあたしを余所に、子ども達は勝手に話を進めていく。


「どうしてわかるの?」


「だって、今日の瑠花ちゃん、いつもよりすっごく可愛いもん!だから、デートに行くんだよ!」


「え〜、そんなのわからないじゃん!」


「そうだよ!」


「わかるもん!絶対にデートだよ!瑠花ちゃん、そうだよね!?」


まだ小学生の女の子の台詞に、ポカンとしてしまった。


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